恵那の穀雨
「清明になると雪が降らなくなり、穀雨になると霜が降りることもなくなる」という言葉があるように、冬服やストーブとも完全に別れる時期に入りました。変わりやすい春の天気もこの頃から安定し、日差しも強まってきます。
穀雨は、種まきなどを始めるのに適した時期なので、農作業の目安にされています。この時期に降る雨は、百穀を潤し、芽を出させる春雨として 「百穀春雨」といわれています。天からの贈り物でもある恵みの雨で潤った田畑は、種まきの好期を迎えるのです。
恵那市では植物が緑一色に輝き始め、鶯もうまく鳴けるようになるこの時期、田植えの準備が始まります。水の張った田んぼは、恵那が誇る美しい絶景になります。
農村景観日本一 富田地区 田植え前の風景 2019年4月27日
雨後春筍
雨後春筍(うごしゅんじゅん)とは雨が降った後に、たけのこが次から次へと生えてくる様子から、同じようなものが次から次へと出現したり、発生したりすることを意味します。桜吹雪が舞う頃の恵みの雨は、たけのこやこごみ、木の芽、たらの芽、こしあぶら、わらびにぜんまいなどの山菜が、私たちの食卓も潤してくれます。
「君がため 春の野に出でて 若菜摘む・・・」と和歌にもあるように、日本では昔から食用としても薬草としても野草を摘む習慣があります。恵那市でも田植えの時期にはよもぎ餅を作り、労をねぎらってぼた(畔を意味する方言)で食べたと聞きました。まさに雨後春筍のように山菜や野草が芽吹き、豊かな時期といえます。
よもぎとこごみ
ぜんまい
恵那のキャンプ
恵那市にはたくさんのキャンプ場があり、とても人気があるそうです。ここ数年で“キャンプ”人気に拍車がかかっているとのこと。多くの人々が新緑と薫風を求め、外で過ごしたいと思う時期なのですね。そして夜になれば山から伐った薪で焚火をし、パチパチと音を鳴らし、ゆらゆらと燃える炎を見る時間が特別になります。
『古事記』や『日本書紀』の日本神話の中でも、火の始まりはしっかり描かれています。人は火とともに歩んできた存在であり、だからこそ火に安らぎ、火を求める。火には特別な力があります。外から見た恵那の自然は、人々の「こんなことがしたい。」を叶える宝庫であり、非日常の世界の入り口であると感じました。
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kotomi mizuno
Kimono文化(呉服販売、着付け師)に触れたことで日本の暦に流れるように生活したいと思うようになりました。えなえーるでは、恵那の強みを二十四節気で綴っています。
今後は土から始まり土に還る循環を学びたいと思います。畑で育てる藍、湧き出る水、山から伐りだした薪で作った灰で藍染に挑戦します。