恵那の春分
二十四節気の春分を迎える3月21日は春分の日です。この日は祝日になっており「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」となります。この日を境に昼の時間が長くなり、寒さに耐えていた草木が徐々に芽吹くのを見ると、春の到来を感じワクワクせずにはいられません。そして春は卒業と入学など節目の季節。梅から桜へと変化していくこの頃には、挑戦したいことも明確になっているのではないでしょうか。
私は藍を育てるための畑の開墾に勤しんでいます。畑を耕せば土の中には虫たちが活発に動いて、宿根草の根が下へ横へと勢いよく張って生命力を感じます。畑にいることもまさに「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」だと感じます。
恵那のひなめぐり
旧暦の4月3日にお祝いすることが多い恵那市の雛祭り。やはり桃の節句というだけあり桃が笑うのは旧暦に行うのがぴったりですね。
毎年恵那市では各地でひな祭りが開催されています。今年は「祝20回 ありがとう」のテーマで開催されている岩村町を歩いてみました。本通りの古い町並みに110カ所、約3500体のひな人形の展示がされています。ゆるやかな坂道を登りながら、こんなにも沢山のお雛様に迎えられると嬉しくなります。勝川家では、お城より拝領された享保雛が飾られていました。お顔は能のお面のような面長で、切れ長な目と少し開けた口、細くて白い手など、細やかな細工が特徴なのだそう。時代とともに移り変わる雛祭りの文化はこの先もまた変化をしながら続いていくのだと思います。また「ひな金魚」も展示されていました。江戸時代は盛んに飼われていた金魚の、優雅な空間に魅了されました。
ひな祭りの行事食
恵那のお雛祭りといえば「からすみ」です。米どころである恵那市では米を使った郷土料理がたくさんあり、この「からすみ」も米粉と砂糖を練って蒸してあります。日本で「からすみ」というと、鯔(ボラ)の卵で、子宝の象徴として縁起物とされています。海から遠い恵那市ではこの“からすみ”に似せたお菓子をつくり、桃の節句に供えることで、子孫繁栄を願ったとされています。
私もお祖母ちゃんが作る「からすみ」が好きでした。家族が作ってくれるからすみの美味しさとは、出来たてが頂けるというのもありますよね。郷土食というのは地域で作られていたこと、今も根付いて作られていることいること、そしてこの先も続いていくこと。と考えています。えなえーるでは手軽に作れるレシピを公開しています。今までなかった新しいレシピでのからすみ、挑戦してみませんか。
【副音声風解説あり】おうちで作れる!郷土のお菓子「からすみ」の作り方
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kotomi mizuno
恵那市明智町出身。Uターン在住。着付け師。
山での暮らしに魅了され、お着物の沼に落ち、お出汁は毎日引いています。
えなえーるでは暦、節句を担当。季節の移ろいを感じて表現していきたいです。
今年は藍を育てます。