恵那の暦・二十四節気『寒露』

寒露とは、晩夏から初秋にかけて野草に宿る冷たい露のこと。秋の長雨が終わり、本格的な秋の始まりになります。露が冷たい空気と接し、霜に変わる直前で、燕などの夏鳥と雁などの冬鳥が交代される時期でもあります。秋は夕焼けが見られると翌日晴れるといわれています。夕焼けと秋晴れは関係していたのですね。

そして夏至の頃に田植えをした黒米の「稲刈り」を体験させて頂きました。白露あたりから恵那市の稲刈りは始まりますが、古代米といわれる黒米はこの時期に収穫されます。稲刈りは穂が出てから約40~45日、稲穂が垂れ下がるのが目安。早く刈りすぎるとお米が充実していないので収量が少なくなり、遅れると収量は増えますが、籾(もみ)が熟れすぎて米の色つやが悪くなります。稲刈りはタイミングが大切です。

刈り取る位置は田面から5~6cmほど上です。右手に鋸鎌を持ち、稲株を左手で握って、刈り取りながら移動します。2~3株で左手がいっぱいになると地面に置きます。これを「一手刈り」といい、もう1回の分と合わせた「二手刈り」で一把(いちわ)とします。一手刈りと二手刈りを扇状に置き、よった藁をねじって差し込み束ね、稲架(はさ)に掛けました。稲架にかける時は広がるように掛けます。

夏至の頃、古代の祖先が田植えの時期を計るために建てられたといわれる鍋山メンヒルから朝日が差し込んだのを見て田植えに挑みました。そしてたわわに実った稲をまた自分の手で刈り取る体験をさせて頂いたのです。八十八手のうちの二手だけなのは承知ですが、豊かな実りを収穫するこの「稲刈り」は私自身、知恵や経験が実ったような感覚を覚えました。

田植えの時に聞いた「土・風・雲・水・虫・太陽・作り手」の7つ神の話があります。春はオタマジャクシやイモリが泳いでいた田んぼは、秋は水が枯れ、ぬかるみも減り、蜻蛉が産卵場所を探していました。南から吹く風も北からと変わり、空には秋の雲です。農に携われば7つの神様を感じて祈り、生活することになります。

最後の「作り手」ですが、こうして歴史を繋いでくれた先人に感謝し、今現在の「作り手」の方達にも感謝の気持ちです。そして私自身もそうなりたいと思いました。

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KOTOMI MIZUNO

恵那市明智町出身。Uターン在住。着付け師。 
山での暮らしに魅了され、お着物の沼に落ち、お出汁は毎日引いています。
えなえーるでは暦、節句を担当。季節の移ろいを感じて表現していきたいです。
髪は盛りたい願望あり。日々是好日。

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