恵那の立春
暦の上では春がやってきました。この頃から冬が極まり春の気配が経ち始めます。今年は寒さが厳しく道行く人達に「寒いねー。」と声をかけられたこともしばしば。まだ気温も低く防寒具も手放せませんが、待ちわびた春が少しずつ近づいてきます。万物が動きだそうとする時です。
二月のことを如月といいますがこれはたくさん着物を重ねるという意味があります。恵那市は二月に雪が降ることも多いですよね。春に降る薄くて大きな雪を太平雪(たびらゆき)と呼び、そしてこの頃に南の方から吹く風を春一番と呼びます。
立春大吉
夏至の日に植えたダイズ
この地域で節分につかわれる馬酔木(あせび)
「立春大吉」というお札を知っていますか。立春の日に玄関に貼ると、厄除けになるといわれます。この「立春大吉」は縦に書くと裏から見ても同じ文字に見えませんか。鬼が家の中に入ってきてしまってもこのお札を見て、「あれ、まだ家の外だった。」と勘違いして外に出で行ってしまうというわけです。
追い出すのではなく、勘違いさせるというのが面白いですね。えなえーるも今年はお札を貼ってみようと思いますのでお間違えのないように。
立春大吉豆腐
立春を調べていると立春大吉豆腐という文化がありました。これは古くから「白い豆腐は邪気を追い払うほどの霊力が宿る」として、節分と翌日の立春に食べる風習があるそうです。
節分(2月3日)に食べる豆腐は「それまでの罪や穢れを払う」
立春(2月4日)に食べる豆腐は「健康な体に幸福を呼び込む」。
【とうふのつねさ】にて早朝の豆腐作りの工程を見せて頂きました。今は機械が壊れて手作業での工程が多いそうです。
「鬼は外、福は内」と似ていますね。節分は「魔(ま)を滅(めっ)する」という語呂合わせがあります。そして「まめ」という言葉には体が丈夫であるという意味もあるため、節分に使われる豆は「福豆」と呼ばれるそう。こうして暦や歴史を調べると邪気や、厄という言葉が必ず登場します。今になって邪気とは、厄とは何だろうと自問自答しています。皆さんは説明することができますか。
食文化や行事食は地域性が色濃く出るので恵那市にはあまり馴染みのない文化もたくさんあります。しかし今回制作過程の写真を撮らせてもらいお豆腐の美しさに魅了され、これからもこの時期にはお豆腐を食べて身を清めたいと思いました。
この二十四節気は農業との親和性が高いことと、立春から物事が始まるという考え方もあります。今までにやったことがないことにも挑戦し、自分が楽しくなることを取り入れてみたい、そう思いました。
kotomi mizuno
恵那市明智町出身。Uターン在住。着付け師。
山での暮らしに魅了され、お着物の沼に落ち、お出汁は毎日引いています。
えなえーるでは暦、節句を担当。季節の移ろいを感じて表現していきたいです。
今年は藍を育てます。