恵那の暦・二十四節気『大雪』

恵那の二十四節気

大雪とは本格的に冬が到来するころ。その名の通り、雪が降り積もる時期とされます。山々は雪に覆われ、恵那山も冬めき、雪化粧が見られます。樹木や草の水分が氷結して、白い花をつけたようになる氷花(ひょうか)が美しいです。この時期の生き物はじっと気をひそめているのだなと思います。

街へ出ると、赤いクリスマスのオーナメントが目に飛び込んできます。一年の終わりが近づき、次の一年の始まりへの期待も手伝って、華やかに飾られます。新しい年の準備をはじめる「正月事始め」もこの時期で、忙しい師走となるわけですね。

街の赤と比較して、恵那らしい山の暮らしの赤色を探してみました。赤い山帰来(さんきらい)の実、寒さで頬が赤くなった子ども達と、たわわに実る林檎。寒くなるほど赤くなるサンゴミズキ。唐辛子のビビッドな赤にも惹かれ、紅芯大根は宝石のような美しさです。この時期に赤色に惹かれるのは、いろんな意味があるのだと思いました。街の赤色も山の赤色も目を惹かれます。

アケチりんごパークの赤色と、えなえーるの赤色

二十四節気は農業において欠かせない節目です。巡る季節は美しく尊く、農家に憧れて私も何か育ててみようと奮起した春。そこで日本にもっとも古く渡ってきた染料植物とされている『藍』を育ててきました。「穀雨」で種を蒔き、「大暑」で刈り取った『藍』は、試行錯誤の末、なんとか発酵に成功し、染料のもととなる(すくも)が出来ました。

そしてこの時期、『藍』は命を繋ぐための種を残してくれました。季節と命が巡ります。種をとりながら次の命と繋ぐ喜びを覚えました。そしてこのタイミングで「冬至」から始めた恵那の暦・二十四節気も今回の「大雪」で一巡しました。この一年の私は、まるで夏休みの自由研究するようなわくわくする気持ちと、読書感想文が書き終わらないまま学校が始まってしまうような焦る気持ちを交互に感じていました。

ようやく終わりがみえたこの連載で、終わったーと胸をなでおろす前に、種を収穫するタイミングです。終わりと始まりが同時にやって来た時、自分の文章も繋いでみたらどうだろう、と思いました。季節がまた巡るように、この二十四節気の文章を続けてみようと思っています。この時期の赤色を探せばいろんな赤が見つけられます。これからも恵那市の色や強みを見つけて、自分の言葉で発信したいと思います。

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kotomi mizuno

恵那市明智町出身。Uターン在住。着付け師。 
山での暮らしに魅了され、お着物の沼に落ち、お出汁は毎日引いています。
えなえーるでは暦、節句を担当。季節の移ろいを感じて表現していきたいです。
髪は盛りたい願望あり。日々是好日。

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