恵那の暦・二十四節気『夏至』

夏至とは「日長きこと至る(きわまる)」という意味です。一年で一番日が長く、太陽の力が最も強まる時期と言われています。夏至の頃は梅雨の真っ只中なので、曇りや雨が続くと昼が短く感じてしまうことも多いようです。空梅雨(からつゆ)といって雨の日が非常に少なく、降水量が少ない年もありますが、今年の天気予報では、これから雨が続きそうですね。

古代遺跡鍋山メンヒルを知っていますか?長島町の鍋山頂上近くに寄り添う二本の立石があります。二つの石の間隔は数センチほどで、夏至の日はこの数センチの間に朝日が差し込むのです。

(2021/6/21  夏至のご来光です。)

「立夏」から、今の恵那市の田植えを綴ってきました。しかし50年ほど前までは「芒種」が穀物の種を蒔く頃で「夏至」が田植えの時期でした。古代の祖先が、田植えの時期を計るためこのメンヒルは建てられたそうです。原始的な呪術・儀礼、あるいは信仰と記述がありますが、それはどんなものだったのでしょうか。古代のロマンを感じます。

(中野方の大江自然農園にて黒米を植えた様子。笠置山が美しい。)

先日、古代米と言われる黒米の田植えに参加しました。お米を作るには88通りもの作業工程があったことから、八十八手(はちじゅうはちて・はちじゅうはっしゅ)と云われ、「八」と「十」と「八」を重ね合わせて “米” という文字が生まれたそうです。全てを実践するのは難しいですが、田植えの体験が食の豊かさを知るための素晴らしい経験になります。

古代ロマンに思いをはせ、無事に育つことを祈ります。

畑も昔は、夏至の頃に麦を収穫して、その次に大豆を育て、そして野菜を栽培していたと聞きました。やはり夏至は農業と密接な関係にあるのですね。今の時代も夏至は農業の繁忙期のさなかであり、作業の目安となっています。

(山岡町の西森ファームのハーブ畑より。)

夏の短い夜は「短夜(みじかよ)」と呼ばれ、夏の季語にもなっています。皆さんもお昼が長いせいか何だか作業が進んでしまい、頑張り過ぎてしまう時期となるのでしょうか。古くから夏至の露には病気を治す力があり、一番長く輝く太陽を浴びたハーブは香りがよく薬効高いと考えられています。忙しい夏至の候、ハーブティーを飲んでほっと一息も良いかもしれません。

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KOTOMI MIZUNO

恵那市明智町出身。Uターン在住。着付け師。 
山での暮らしに魅了され、お着物の沼に落ち、お出汁は毎日引いています。
えなえーるでは暦、節句を担当。季節の移ろいを感じて表現していきたいです。
髪は盛りたい願望あり。日々是好日。

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