恵那の小暑
小さく暑いと書くことからも、これから暑さが本格的になる頃が小暑の候。小暑から大暑まで合わせた一ヵ月を「暑中」といい、暑中見舞いの時期です。夏の御挨拶は梅雨明けからとはいうものの、今年の梅雨はタイミングがつかめませんでした。戻り梅雨の後になりそうです。
この時期には日差しも強く、夏野菜もぐんぐん成長し、蝉も鳴き始めます。「蝉時雨(せみしぐれ)」という言葉をご存知でしょうか。 本格的な夏の訪れを告げる「蝉時雨」は、夏の季語にもなっています。うだるような暑い日、蝉の賑やかな声を聞くと、気温が1〜2℃上がるようなイメージです。それをまるで大雨が降ったように蝉の声が聞こえると例えています。 暑さが増すほどうるさく響く蝉の声を、突然降ってやむ雨に例える美しい比喩です。自然をとらえる力が日本語には備わっています。夏の御挨拶は、この暑さを美しい言葉で綴りたいと思います。
夏の蜂蜜絞り
養蜂を営んでいるさとはちにて蜂蜜を絞らせてもらいました。こちらでは四月から七月までの間に花と蜂の恵を絞ります。蜜蜂が作る美しい六角形はハニカム構造といわれます。六角形は円に近い形をしているため、同じ空間を作るときの壁の長さが多角形の中では最短になり、 蜜蜂たちは最小の材料と労力で巣を作り上げることができるそう。自然の六角形はなんて美しいのでしょうか。歓声とため息がこぼれます。
フタがかかったままでは蜜が出てこないので、温めた包丁でフタを切ります。それを遠心分離機にかけ、黄金のはちみつが絞られます。
夏こそ蜂蜜
蜂蜜は暑い夏こそパワーを発揮するそうです。健康な体に必要不可欠な「必須アミノ酸、酵素、ビタミン、ミネラル」など、約180種もの天然成分を含んだスーパーフードです。夏バテの原因のひとつがエネルギー不足。はちみつの糖分であるブドウ糖と果糖は、単糖類のためそれ以上分解される必要がなく、胃腸の負担も軽いのです。しかもすぐにエネルギー源へシフトするため糖質補給の点で理想的な食品であると考えられています。この夏に食べるひんやりスイーツには、はちみつをかけたいなと思いました。そういえば夏の部活の終わりに食べた蜂蜜レモンは美味しかったと、懐かしさを覚えました。
夏になると虫も活発になります。畑を耕せば虫がたくさん出てきます。最近見かけなかったカタツムリも畑で会いました。夜になると明かりにはクワガタもやってきて、蝉も蜂もこの夏を懸命に生きています。暑さに弱い私は、恵那の多様な蟲達から教えを乞う夏となりそうです。
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kotomi mizuno
Kimono文化(呉服販売、着付け師)に触れたことで日本の暦に流れるように生活したいと思うようになりました。えなえーるでは、恵那の強みを二十四節気で綴っています。
今後は土から始まり土に還る循環を学びたいと思います。畑で育てる藍、湧き出る水、山から伐りだした薪で作った灰で藍染に挑戦します。