恵那の暦・二十四節気『清明』

清明は、春の日差しが万物を照らして、清く明るくするという時期です。日差しは白く柔らかく、咲き始めている花々や植物を優しく照らしています。その景色は、清らかで明るく映ります。

春分の後に、東南から吹いてくる穏やかな風を清明風と言います。北風の吹く季節が終わり、暖かい春になったと感じます。恵那市の桜も膨らんだ蕾が開き満開を迎えました。皆さんなら清明風に揺れる枝と桜吹雪をどう表現しますか?

恵那山麓ではまだ晩霜もある時期です。日中の暖かさと朝晩の冷え込みが山間部らしいですね。それでも今年の桜は例年より早いようです。花見は、農作業が始まる前に山から下りてくる神を迎え、豊穣を祈る行事でした。桜の木の下での宴を催し、神をもてなしたのです。

「飛騨・美濃さくら33選」に選ばれた串原中沢のひよもの枝垂れ桜、上矢作町本郷の新田の桜からは幾度となく神と宴を交わしただろう歴史を感じます。「花明かり」とは桜が満開になって、その鮮やかさがあたりをほのかに明るくすることです。

桜の花が満開の時期はとても短く、数日でひらひらと花弁が落ちます。それが種まきの目安として最適だったと言われています。私たちの桜に対する愛着は、「もののあはれ」の文化と深く結びついていていますね。

露地栽培でも種を撒いたとの便りがありました。ではハウス栽培はどうでしょう?恵那市のイタリアン野菜はこれぞ清明という生命力を発していました。この美しきビビットカラーはまさに微生物や土着菌のなせる業なんだそうです。恵那の畑も清く明るく照らしています。

(雅園芸にて)

私たちは目に見えないウイルスに翻弄されもう一年以上が経ちます。清明を迎えた今、世界中が清く明るい方へと向かってほしいと願っているのではないでしょうか。
私はこの一年、目に見えない菌と生きてきた、日本の食文化や歴史を教えて頂く機会に恵まれました。寒の水に雑菌が少ないことも、微生物や土着菌も目に見えるものではありません。私は、この知識を身につけられたことがコロナ禍の糧になったと思います。

4月にえなえーるは一周年を迎えます。特別企画として、4月の「発酵おうちごはん」はYouTubeライブに挑戦です。講座のテーマは納豆です。これまた目に見えない納豆菌のお出ましです。これに連動したアンケートも行います。ぜひ投稿してみてください。

(上のバナーをクリックすると回答できます)

「世の中は三日見ぬ間の桜かな」とは、世間の移り変わりの早いことのたとえです。むかしからの言葉なのに、今を生きる私たちにぴったりなのが不思議です。これからの一年も丁寧に暮らすこと、そして恵那の魅力を綴っていきたいと思っています。

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KOTOMI MIZUNO

恵那市明智町出身。Uターン在住。着付け師。 
山での暮らしに魅了され、お着物の沼に落ち、お出汁は毎日引いています。
えなえーるでは暦、節句を担当。季節の移ろいを感じて表現していきたいです。
髪は盛りたい願望あり。日々是好日。

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