恵那の暦・二十四節気「雨水」

空から降る雪が雨へと変わり、雪が解け始める頃です。寒さも峠を越え、春を見つけられる時期ですね。春一番が吹き、うぐいすの鳴き声が聞こえると言われていますがいかがでしょうか。昔から農耕の準備を始める目安とされています。

恵那市内の道の駅ではふきのとうが売られていました。恵那市にも一番目の山菜が出始めたんですね。そういえば太陽の出ている時間も長く感じませんか。

しかし山間部の寒さはまだまだ厳しさが残ります。朝は氷点下を下回り、美しい氷の世界もまだ見せてくれます。そして雪が降ることもまだまだ予想されます。立春を過ぎてから降る雪を「春の雪」と言います。すぐに溶けてしまう雪を淡雪と言います。切ないけれど美しい表現が日本語にはたくさんありますね。

この二十四節気は実際の農業暦と一ヵ月ほどずれがあることもあります。恵那市ではこの時期に味噌を仕込む家庭が多いそうです。百年続けている家庭もあれば、昨今の発酵ブームで始めた家庭もあるのではないでしょうか。恵那市は各地で教室、講座の開催もあります。えなえーるも発酵食の取り組みをしています。今後も講座を開催していく予定です。

さて今回は上矢作を訪れました。雪解け水が流れる一級水系矢作川の姿は圧巻です。「福寿の清水」も有名ですね。そして上矢作の味噌作りの工房で、麹作りを見せて頂きました。こちらでは麦と米を一緒に麹にする独特の文化があります。それは全国でも珍しい方法で、先人の作り方を今も受け継いでいます。

今は時代の移り変わりも速く、時代とともに食文化も変わっているように感じます。食卓に並べられる献立も時代が反映されます。しかし伝統食は今も昔も変わらず親しまれています。十年後も二十年後も伝えて欲しいと思います。今後は特に、歴史は恵那市の強みになると思います。

上矢作を訪れたこの日は、風の強い日でした。これが春一番なのでしょうか。写真に写る鳶が見えますか。鳶はほとんど羽ばたかずに尾羽で巧みに舵をとり、上昇気流に乗って輪を描きながら上空へ舞い上がると言います。水が取り立てて清らかなさまと、鳶が伸びやかに輪をつくるさまを見て、これからの恵那市もずっとこうであって欲しいと思いました。そして同時に、伝統を守ってきた先人達に今一度感謝をする日となりました。

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kotomi mizuno

恵那市明智町出身。Uターン在住。着付け師。 
山での暮らしに魅了され、お着物の沼に落ち、お出汁は毎日引いています。
えなえーるでは暦、節句を担当。季節の移ろいを感じて表現していきたいです。
髪は盛りたい願望あり。日々是好日。

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