恵那の白露
夜中に大気が冷える時期で草花や木に朝露が宿りはじめます。降りた露は光り、白い粒のように見えます。朝の光に白く輝く露のことを、古の人は「白露(はくろ)」と表現しました。こうして文章にすると、とても美しい言葉だなと思います。そして「しらつゆ」は秋の季語です。
朝晩が肌寒くなると、秋の到来を感じます。恵那では栗きんとんの販売や稲刈りが始まりました。また野菜売り場には秋野菜がずらりと並びます。日中の暑さも和らぎはじめ、頭を垂れた稲から芳ばしい香りがします。だんだんと秋の気配が深まっていきます。
中秋の名月
今年の十五夜は九月十日です。恵那市の図書館の児童室にて月に関する本が展示されており、「急いで準備せねば。」と思い立ちました。
十五夜は秋の収穫を祝って「芋名月」とも呼び、澄んだ秋空に浮かぶ満月を愛でるものです。芋の収穫期に訪れる「芋名月」皆さんはどう過ごしますか。
そして、十五夜のひと月後に訪れる十三夜の月を「栗名月」と呼びます。この十五夜と十三夜は一対をなし、二つの月は同じ場所で観るものとされてきました。どちらか片方しか観ない、もしくは別の場所で観ることを「片見月」と呼ばれ、嫌われてきたそうです。日本ではお月様を大切にしてきたのが分かります。
室礼(しつらい)
普段何気ない生活の中で季節の花が生けてあると素敵だな、と思います。恵那には老舗の和菓子屋さんも多く、ディスプレイに野の花がそっと生けてある空間に忙しさを忘れます。
中秋の名月はどんな室礼をするのでしょうか。お月様からみて左側には里芋やさつまいも、旬の野菜や果物など自然界の盛り物を盛る。真ん中にはススキ、右側には団子を盛ります。団子は十五夜にちなみ三宝などに十五個盛るそうです。
恵那の豊かな自然の中で、ススキや南瓜を手に入れるのは難しくなさそうですね。私も今年は室礼を意識してみようと思います。実りの秋を迎える中秋の名月に収穫を祝い、感謝したいと思います。皆さんもススキを飾り、月の優しい光に照らされてみませんか。
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kotomi mizuno
Kimono文化(呉服販売、着付け)に触れたことで日本の暦に流されるように生活したいと思うようになりました。恵那にUターンしてから恵那の歴史や強みを知りました。恵那の強みを二十四節気で綴っています。時代の流れが速すぎてもスロウで心地良いコトやモノに触れていたいです。
土から始まり土に還る循環を学びたいと思います。畑で育てる藍、湧き出る水、山から伐りだした薪で作った灰で藍染に挑戦します。