恵那の芒種
芒種の頃、街行く人々は半袖になり、日差しの眩しさに目を細め、日傘を持つ姿がみられます。畑の草は一日ごとに根を張りぐんぐんと縦に伸び、生命力の強さに驚かされます。メディアでは連日最高気温の情報が流れ、急な夏の到来に体が驚くこともありそうです。
そしてこの頃から、雨空も増えていきます。芒種から数えて5日目、「入梅(にゅうばい)」になります。入梅は雑節とされ、梅雨入りの目安とされてきました。梅雨入りと同じくして、梅の実が薄黄色に色づく頃。梅雨という言葉は、梅の実が熟す頃の雨という意味です。
田植え
二十四節気の芒種は、稲や麦など、穂の出る植物の種を蒔く頃といわれています。かつて黒米などの古代米はこの時期に蒔かれていたのでしょう。
今は早生【わせ】と呼ばれるお米の品種が増え、ゴールデンウイークから田植えが始まっています。成熟が早く早期に収穫できる作物の品種です。小満の頃には「次米お田植え祭」が開催され、早乙女姿の子ども達が印象的でした。同じ頃、笠置町など各地で田植えの体験イベントも開催されていました。田植えは八十八の作業の中でも、特別だと感じます。
そして晩生【おくて】と呼ばれる品種や古代米は、夏至の頃まで田植えが続きます。こうして米どころの恵那市の田植えは歴史や変化、それぞれの想いがあり、受け継がれていくのだと思います。
朴の葉を採りに
この時期、恵那の郷土料理といえば「朴葉寿司」です。田の神様にお供えし、田植えの時の携帯食として、そしておもてなし料理として、進化を続けています。
先日、えなえーるでは「朴葉ずしチャレンジ」と題し、朴の葉を先着で無料配布をしました。手作り朴葉寿司の写真を送ってもらう企画に、私も朴の葉を採るところからやってみようと思い立ち、山へ向かいました。
脚立と高枝切ばさみを使いました。
山には朴の木はたくさんあるのですが、高すぎて採れません。低くても15メートルぐらいありそうです。今後も朴葉寿司を作るなら、これは山の管理、木の育成などが必要です。過去に祖父が採ってきてくれた朴の葉は、いったいどのようにしていたのだろう、と考えてしまいました。
試行錯誤の末、葉を採ることができ、両手に持てるだけ持った瞬間から朴の葉の香りが辺りを漂っていました。豊かな山があり、田んぼがある。蕗を煮たり、筍の灰汁を抜いたり、知恵と工夫も詰まっている。大きな朴の葉の中には恵那の強みがたくさん包まれているのだな、と気付きました。
「朴葉ずしチャレンジ」に送られてくる朴葉寿司の写真も、これからの朴葉寿司の進化も楽しみです。
手作り朴葉寿司の写真を募集
募集期間:5月16日~6月26日
ご自身で手作りされた自慢の朴葉寿司を写真に撮ってえなえーる公式ラインまでお送り下さい。後日、公式instagram・えなえーる店頭にてご紹介します。
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kotomi mizuno
Kimono文化(呉服販売、着付け師)に触れたことで日本の暦に流れるように生活したいと思うようになりました。えなえーるでは、恵那の強みを二十四節気で綴っています。
今後は土から始まり土に還る循環を学びたいと思います。畑で育てる藍、湧き出る水、山から伐りだした薪で作った灰で藍染に挑戦します。