食でポーランドとつながりたい ~ALTの先生たちとポーランド料理のピエロギを一緒に食べよう~

空は高く、田んぼでは稲刈りに追われる実りの秋を迎えています。
日の日中は汗をかくような日差しを受けても、朝晩は冷えて身を縮ませるようなこともあります。
今年の夏、私は東京オリンピックのテレビ中継に夢中になり、ポーランドカヌーチームの頑張りに声を枯らして応援するはずでした。 
テレビの前で、炭酸ドリンク片手に揚げ物をほおばり、家族や仲間とワイワイしながらオリンピックを存分に楽しむはずだったのに。ちぇっ。
オリンピックって、やっぱり特別なんだなと感じます。
世界の人々が同じ気持ちでいることなんて、他にない。
恵那へオリンピックに出場するチームがやって来て、すぐ近くにオリンピック選手が滞在しているのなら会ってみたいなぁ。
えなえーるで、食でポーランドカヌーチームとの懸け橋となるようなことができないかとスタッフのHさんと話してたのはそんな夏の頃です。(その頃はまだNさんで、現在はご結婚されHさんに苗字が変わりました。おめでとう!)スポーツ課からポーランド料理についてのレシピ書をお借りし、伝統的なポーランド料理をいくつか作って試食会も行いました。
ポーランドは平坦な地が多く農業が盛んで、パンやじゃがいもが主食。煮込み料理やスープが多く、チーズやバターの摂取量も多い。一日5食、メインは昼間に食べ、おやつタイムあり。
『脂の木曜日』と呼ばれる絶食前の日には『ポンチキ』という揚げパンを大量に食べるとか、『ピエロギ』という見た目が餃子に似た食べ物があったり、キャベツを塩もみにして瓶にぎゅうぎゅう詰めて作る『ザワークラウト』という発酵食品をスープにも煮込みにも何でも入れちゃうとか…文化は違えど、レシピを読めばどこか懐かしささえある料理ばかり。


ポンチキ(揚げパン)→ 給食やドーナツ屋さんで食べたことあるかも?
ピエロギ(餃子)→ ハンバーグが入った餃子?マッシュポテトが入った餃子?
中身は何でもよい!
ザワークラウト(発酵キャベツ)→ キャベツの漬物?
日本人に近い感覚、日本人の口に合う調理。
シンプルで丁寧に作られた、家庭のごはんということに気づきました。
ポーランド料理の真髄は、
「限られた素材で、伝統的な調味料を工夫して豊かな味を作る」これに尽きるそうです。
恵那に、ちょっと似てるかも。
えなえーるのイベントとして決まったのは、お盆も開けた頃のこと。
ボス(杉山係長)からのメールに思わず「やったー!」
ずばりタイトルは『パピプペポーランド!食でポーランドとつながりたい!』まだ知らぬポーランド料理を紹介して、恵那の人たちにポーランド料理を身近に感じてもらおうということになりました。パピプペポーランドという言葉を思いついたのはスタッフの水野さんです。ちょうど、ピで始まる『ピエロギ』とポで始まる『ポンチキ』を試作したりしているときに、あいうえお作文のようにパピプペポで始まるポーランド料理をピックアップしてレシピを発信しようということになりました。
えなえーるらしいでしょ。
★パピプペポーランド料理  作って食べて、ポーランドを知ろう♪
“パルシュキ”
ポーランドのお菓子です。甘くない、サクサクおやつ。

“ピエロギ”
ポーランドの家庭でよく食べられる餃子に似た料理。塩味、または甘いフィリングを詰めて、茹でたり焼いたりして食べる。


“プラツキ”
じゃがいものパンケーキです。ポーランドで人気なのはカリカリ食感のもの。


“カナぺツキビオセンナ”
 ポーランドの主食はパン。夕食などでよく食べられているオープンサンドイッチです。
ハムやチーズや野菜など、のせる材料は自由。


“ポンチキ”
ポーランドの伝統的なドーナツ。四旬節(断食)期間前の木曜日は「脂の木曜日」と呼ばれ、大量に食べる習慣がある。

パピプペポーランドは、その口当たりの良い響きとともに、いろんな方々との出会いを呼びました。
えなえーるに立ち寄ったお世話になっている飲食店さんが「ポンチキをメニューに加えようかなぁ」なんて言い出して、こちらもウキウキしちゃって、飲食店さんの若い女性従業員さんと一緒にポンチキを作ってレシピをレクチャーしたり、ポーランドにゆかりある人がえなえーるにいらっしゃった時ちょうどパルシュキを試作中でとても懐かしがってくださり、日を改めて一緒に作ってみようということになったり。
ひょっとしたらポーランド料理って、知らないうちに世界中に浸透しているのかもしれない。
そこで、恵那の小中学校でALTとして働くアメリカ人やイギリス人に、パピプペポーランド料理の中でも特に親しみある“ピエロギ”を作って食べてもらおうということになりました。


日曜日、彼らは学校で出会うよりもラフな格好でえなえーるにやってきました。
ピエロギを作るところから参加してくれたのは、ケビン先生。
えなえーるにある“ポーランド料理道”なる書籍をじっくり読み解きながら、彼にとっては初めてのピエロギを一緒に作りました。
じゃがいもの皮を剥いて、切ったり茹でたりつぶしたり、生地をこねる力仕事などなどケビン先生は大活躍!なかなかの腕前です。


「ポーランドも森が多いんですね。僕はアメリカでもカナダに近い州で育ったので森の近くで育ちました。家庭では大きなオーブンがあり、ターキーやミートパイを作っていました。ピエロギも小麦粉を使った主食として、アメリカ人やイギリス人がパイ生地を使って食事を楽しむ感覚で、いろんなフィリングで食べられているんじゃないかな。」
「ポーランドはバターやチーズをたっぷり使った料理が多いですね。アメリカもそうです。日本はバターの値段が高いですね。牛乳や乳製品全般の値段が高く感じます。アメリカは販売している牛乳は4リットルサイズですよ。1リットル1ドルくらいで売ってます。冷蔵庫も大きいんですよ。」


会話も弾んだ頃に、お仲間のベン先生(背が高~い)、イアン先生(今年度から参入の先生)そしてALTのお世話係の相沢さんも来てくれました。
「おいし~い」
「うんうん、いいね」
「イギリスは茹でる料理より焼く料理が多いんだよ。イギリスではパイ生地を使う料理がポ―ランドのピエロギのように食べられていると思う。ピエロギの生地はパスタっぽいね。ラビオリとか、ニョッキみたい」
イギリス人のベン先生はスイーツづくりが趣味で、イギリスにあるような大きなオーブンが日本の自宅にないのが残念そう。作ったスイーツは相沢さんを始め、ALTの仲間に差し入れしているそうです。うーん、食べたい。
「もちもちしていて美味しかったよね~」
イアン先生と一緒にやってきたイアン先生の彼女は日本人。来日する前からのお付き合いなんだそうです。
「焼いたものも食べてみたいな。」
「僕は前にピエロギを食べたことがあるんだ。」
隣の席のイアン先生。
「その時食べたピエロギは、玉ねぎをバターで炒めたソースがたっぷりかかってたよ。ポーランドの人はもっとバターを使って作っているかもね。」
朝から一緒につくってくれたケビン先生は
「美味しかったです!
作り方はカンタンさ。僕の家は小さな台所だからなかなか出来ないけど、もう少し大きかったらもっとたくさん作れるよ!餃子と同じ要領で作れるからチャレンジしてみてよ。ボリュームあるから、これを食べればポーランドの寒い冬も元気に過ごせそうだな。」
…私たちに話してくれる言葉は日本語の丁寧語。難しい漢字もほとんど読めるし、とても賢い。
でも、ALT同士や相沢さんを含めて話す会話は英語なんです。日本語に訳すと、こんなニュアンスで話してくれたのではないかと感じ、勝手に訳しました。すみません。


パピプペポーランド料理を展開してからワールドを感じるえなえーる。
オリンピックもなかったし、海外旅行に行った人もいなかった夏でしたが、恵那に居ても料理を通して世界の文化を知ることができる楽しい展開が期待できそうです。

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